ドケルバン腱鞘炎とは?別名「スマホ腱鞘炎」とも呼ばれる理由
手指を曲げ伸ばしする腱が通る管を「腱鞘」と言います。
ドケルバン腱鞘炎とは、親指側の腱鞘への繰り返しの負荷、捻挫などを原因として炎症が起こる病気です。キーボードやマウスを長時間使用する人、テニスやゴルフをする人に好発します。
また、最近ではスマートフォンの使用使い過ぎが原因と思われる症例も目立つことから、「スマホ腱鞘炎」とも呼ばれます。
ドケルバン腱鞘炎の原因となりやすい人
ドケルバン腱鞘炎の原因は、手や腕の使い過ぎ、捻挫といった外傷などを原因として発症します。
特に以下に該当する方は、発症リスクが高くなります。
- 30~50代の人、女性
- 長時間のパソコン作業をする人
- テニスやゴルフの愛好家
- 手や腕を酷使する仕事に就く人
- 関節リウマチ、糖尿病のある人
ドケルバン腱鞘炎の症状と放置するリスク
- 親指を動かした時の、親指の付け根の痛み
- 手首を回す時の違和感、痛み
- 手首の親指側の腫れ、小さなしこり
主に、上記のような症状が見られます。
放置するとどうなる?
放置すると、手に力が入りづらくなり、物を掴むのが難しくなったりします。また、手首だけでなく親指そのもの、あるいは前腕へと痛みが広がるようになります。
ドケルバン腱鞘炎の検査・診断
問診、触診の上、超音波検査を行い、診断します。
手首の親指側を押したり、特定の動作をした時に痛みが出るかどうかのテストも行います。
ドケルバン腱鞘炎の治療法
保存療法
軽度の場合には、湿布や塗り薬による薬物療法、温熱療法などを行います。
症状が強い場合には、局所麻酔注射やステロイド注射を行うこともあります。
どのくらいで治る?
早期に治療を開始できれば、4~6週間で症状は改善します。
リハビリテーションの内容と目的
テーピングやサポーターでの固定
テーピングやサポーターにより、患部の安静を保ちます。
患部外のトレーニングやストレッチ
患部のまわりの筋力トレーニング、ストレッチは、患部の負担を軽減するという意味で有効です。
1つ、ストレッチ方法をご紹介します。
- 手の甲を上にして、その手を反対側の手で掴みます。
- 甲を上にした手を前方に伸ばします(約30秒)。この時、指をできるだけ反らすようにします。手首から肘にかけて、伸びていることを意識してください。
- 今度は手のひらを上にして、その手を反対側の手で掴みます。
- 手のひらを上にした手を前方に伸ばします(約30秒)。この時、指をできるだけ反らすようにします。手首から肘にかけて、伸びていることを意識してください。
- 左右の手を交代して、①~④を3セット繰り返すのが目安です。秒数や回数は、お身体の調子に合わせてください。
動注治療
炎症により異常な新生血管が生じている場合には、動注治療を行います。
動脈に細い針を刺して、そこから新生血管に蓋をして(塞栓)、炎症・痛みの軽減を図ります。
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合には、手術を検討します。
局所麻酔の上、腱鞘の真上の皮膚を小さく切開します。これにより、腱との摩擦が軽減されます。