布団に入っても靴下を履いても足が冷たい「冷え性」
冷えるという感覚は、誰もが感じるものです。冬場はもちろん、夏場のエアコンの効いた部屋など、気温・室温が低いときには冷えを感じます。
通常、衣類等で調節すれば、その冷えは解消されます。しかし、血行の悪化などによって起こる「冷え性」の場合にはそうはいきません。他の人にとって快適な環境であっても、冷えを感じます。特に顕著に冷えが現れるのが、足です。
たとえば、「布団に入っても靴下を履いても足が冷たい」という場合には、冷え性が疑われます。冷え性は、さまざまな場面で不快感となり、QOLを低下させます。お困りの方は、お気軽に当院にご相談ください。
足先までキンキンに冷える?冷え性の症状
- 布団に入っても、靴下を履いても足が冷たい
- 寒さは感じないのに、足や手が冷たい
- 職場で自分だけ冷えを感じている
- 夏場でも手足が冷たい
- お風呂に入っても、すぐ手足が冷える
- 冷え性が気になって仕事に集中できない、眠れない
上記のようなことでお困り・お悩みでしたら、お気軽に当院にご相談ください。
冷え性は、比較的女性に起こりやすいものですが、男性にも起こります。
自律神経やストレスも関係する?冷え性の原因
基礎代謝の低下
生命を維持するための必要最低限の代謝のことを「基礎代謝」と言います。
加齢や生活習慣の乱れによって基礎代謝が低下すると、体温が低くなり、冷えを感じやすくなります。
食生活の乱れ
栄養不足、栄養バランスの乱れは、筋肉量の低下・血行の悪化などを介して、冷え性の原因となります。特にミネラルやビタミンの不足に注意しましょう。
また食生活の乱れは、基礎代謝の低下にもつながります。
ストレス
慢性的なストレスは、血行不良を引き起こし、冷え性の原因となることがあります。
またストレスは、自律神経の乱れにつながります。
自律神経の乱れ
ストレス、不規則な生活リズム、睡眠不足などは自律神経を乱します。胃腸の働きが低下したり、基礎代謝が低下するなどして、冷え性につながることがあります。
喫煙
喫煙行為は、血管を急激に収縮させます。血行も悪化し、冷え性の原因となります。
なぜ女性に冷え性が多い?
女性は、男性と比べた場合に以下のような特徴・傾向を持ちます。そのため、男性よりも冷え性の方が多くなります。
筋肉が少なく、脂肪が多い
筋肉量が少ないと、基礎代謝も比例して低下します。また脂肪は一度冷えると、温まりにくいという性質を持ちます。
子宮や卵巣によって、腹部の血流が低下しやすい
腹部の血流が低下すると、お腹や脚の冷えにつながります。
脚を出す服装になることが多い、タイトな衣類を着ることが多い
脚を出す服装は、言うまでもなく脚の冷えにつながります。またタイトな衣類やベルトは、腹部の血流を悪化させ、下半身の冷えにつながります。
男性の冷え性の原因とは
個人差はありますが、加齢や運動不足による筋肉量・基礎代謝の低下、食生活の乱れ、ストレス、喫煙などの原因が多いと思われます。
また特に男性の場合は、肩こり、腰痛などをきっかけに冷え性を自覚されるケースが目立ちます。
足が冷たくなる症状は病気の可能性も
急性動脈閉塞症
緊急の治療が必要になる、もっとも注意していただきたい疾患です。治療が遅れ、命を落とすケースもあります。
急性動脈閉塞症は、血栓が動脈に詰まる病気です。閉塞した部位に応じて、脳梗塞、心筋梗塞などに分けられます。足の動脈が閉塞した場合には、突然の足先の激しい痛み、知覚の低下・麻痺、足先の蒼白などの症状を伴います。治療が遅れると、足の切断に至ることもあります。
迷うことなく、救急車を呼んでください。
閉塞性動脈硬化症
加齢、生活習慣病などに伴う動脈硬化により、足の動脈が少しずつ狭くなり、詰まってしまう病気です。足のしびれや冷えなどの症状から始まり、間欠跛行、痛みなどが現れます。やがて足先に血液が流れなくなり壊死を起こすと、足の切断に至るケースも存在します。
各生活習慣病に対する治療をしっかりと行うことが重要です。
※間欠跛行:一定の距離・時間を歩くと足の痛み・しびれ・脱力感などが現れ、少し休むと歩行を再開できる(少し休まないと歩行を継続できない)状態を指します。
バージャー病
四肢の動脈に炎症が起こり、その先が壊死してしまう病気です。はっきりとした原因は分かっていませんが、10代、20代の男性に多く見られます。また、喫煙、歯周病などとの関連が指摘されています。
足指の冷え、しびれ、蒼白、間欠跛行、痛みなどの症状を伴います。進行し、潰瘍の形成、壊死に至ることもあります。
レイノー病
緊張しているとき、寒さを感じているときに指先が蒼白化したり、紫色に変色する病気です。動脈が急激に収縮するために起こります。
原因不明のものと、疾患(リウマチ・強皮症などの膠原病)を原因とするものがあります。原因不明のものも、緊張時・寒い時の対応を工夫したり、お薬を使ったりして治療が可能です。
下肢静脈瘤
逆流防止弁の異常によって脚の静脈が瘤を形成する病気です。血管が透けて見えたり、ボコボコと隆起するほど目立ったりします。また、足先がうっ血した状態となるため、足のほてり・冷え、倦怠感、重い感じ、痒みなどの症状を伴います。
足の冷えを改善するためにはどうしたらいい?対策について
ほとんどの足の冷えは、病気に起因するものではありません。まずは、以下のような方法を試してみるのも良いでしょう。
入浴
入浴は、身体を温めて血行を改善してくれます。冬場だけでなく、夏場も、できる限り毎日、入浴するようにしましょう。ややぬるめのお湯にじっくり、顔に汗をかくくらい浸かるのがおすすめです。
入浴後は、冷えないように吸水性の良い衣類を着用しましょう。熱いからといって、薄着で過ごしていると身体が冷える原因になります。
運動
適度な運動は、基礎代謝・新陳代謝を高め、冷えにくい身体づくりに役立ちます。血行改善、筋量増加といった効果も期待できます。
無理な運動をする必要はありません。ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。好きな運動を見つけられれば、ストレスの解消にも役立ちます。また、運動による適度な疲労により、睡眠の質も改善します。
食事
暑い季節など、ついつい冷たいものを口にしたくなります。ただ、冷たいものばかり食べていると、身体の冷えの原因となりますので、注意してください。夏場に摂取する水分補給も、常温が理想です。
なお、気づかないうちに脱水状態に陥りやすいのが、睡眠中です。就寝前、起床後にコップ1杯の水を摂ることで、脱水症状を予防してください。
マッサージ
マッサージは、手軽に血行を促進できる方法の1つです。
毎日、5~10分程度で構いませんので、足のマッサージを行いましょう。お風呂あがりなどに、クリームなどを使って行うのが効果的です。
呼吸
腹式呼吸(吸った時にお腹が膨らみ、吐いた時にへこむ)は、副交感神経を優位にしてリラックスをもたらしてくれます。自律神経の調子を整えたり、血行を改善したりといった効果が期待できます。
腹式呼吸ができていない人は、1日に5分程度で構いませんので、意識してお腹で深い呼吸をしてみてください。
夜に足が冷えて眠れない方は、一度ご相談ください
足の冷えは、痛みや痒みといった症状比べると、気にされている人は多くないかもしれません。しかし、日常のさまざまな場面で小さなストレスとなり、QOLを低下させます。
また、何らかの疾患を原因としていたり、身体の他の不調につながったりすることもあります。足の冷えでなかなか寝付けないといったお悩みがございましたら、お早目に当院にご相談ください。もちろん、「そこまでではないけれど」という方も、お気軽にご相談いただければと思います。