母指CM関節症

瓶の蓋を開けると痛いのは「母指CM関節症」かも?

母指CM関節症母指CM関節症とは、親指に力のかかる動作の際に、親指の付け根に痛みを伴う疾患です。瓶の蓋を開ける時、タオルを絞る時などに痛みが出ることが多くなります。
親指の付け根の関節のことを「母指CM関節」と呼ぶことから、この名前がついています。
親指は指の中でも飛びぬけて広い可動域を持っています。それゆえに、痛みなどの症状が強くなると、日常生活への影響も大きくなります。

母指CM関節症の症状と進行

母指CM関節症の主たる症状は、「親指に力を入れた時の、親指の付け根の痛み」です。

初期症状

  • 物を握る、摘まむといった動作の際の痛み
  • 衣類のボタンをかけるときの痛み
  • 親指の付け根の腫れ、可動域の狭まり

初期には、上記のような症状が見られます。

放っておくとどうなる?

母指CM関節症は放っておくとどうなる?放置していると、親指の可動域が狭くなり、物を掴む、摘まむ動作に支障をきたすようになります。
さらに進行すると、親指の関節が異常に曲がる「スワンネック」という変形を起こすこともあります。

なぜなる?母指CM関節症の原因と発症しやすい人

老化

人は誰でも、加齢によって骨の新陳代謝が低下し、軟骨もすり減っていきます。
手を酷使していない人でも、年齢によっては母指CM関節症を発症することがあります。

親指への負担

他の4本の指と「対(つい)」にして使うことの多い親指には、気づかぬうちに小さな負担が積み重なっています。
スポーツや仕事、家事など、さまざまな場面でこの負担が蓄積されていくと、母指CM関節症のリスクは高くなります。

女性ホルモンの減少

更年期になると、女性はエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が低下します。エストロゲンは、腱や関節の柔軟性とも関与しているため、その減少によって母指CM関節症が起こりやすくなると言われています。

40代以降の女性は発症しやすい?

40歳以降というのは、身体への負担の蓄積が大きくなる時期であり、また更年期を迎える時期でもあります。こういった要素が重なることから、母指CM関節症になる人が増えるタイミングと言えます。

母指CM関節症の検査・診断

母指CM関節症の検査・診断問診、触診の上、レントゲン検査を行い、診断します。
レントゲン検査では、腱鞘炎やリウマチ等との鑑別、母指CM関節の状態、骨棘や亜脱臼の有無の確認を行います。

母指CM関節症の治療法

母指CM関節症のステージ(1~4)に応じた、適切な治療を行います。

保存療法

テーピング・サポーター

テーピングやサポーターで患部を安静に保ちます。

消炎鎮痛剤

消炎鎮痛剤の内服、外用で、痛みの軽減を図ります。

ステロイド注射

痛みが強い場合には、関節内へのステロイド注射が有効です。数回を目安に、限定的に使用します。

動注治療

炎症により異常な新生血管が生じている場合には、動注治療を行います。
動脈に細い針を刺して、そこから新生血管に蓋をして(塞栓)、炎症・痛みの軽減を図ります。

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プロロセラピー

高張ブドウ糖液という刺激物を注射することで、わざと炎症を引き起こさせ、その反応を利用して組織修復・成長因子の活性化を促進することができます。
高齢者や妊婦・授乳中の方、また糖尿病や高血圧の方でも受けることができます。

手術療法

関節固定術

痛んだ軟骨を削った上で、ワイヤーやネジで固定する手術です。
手の力は入れやすくなる一方で、動きについては関節形成術にやや劣ります。

関節形成術

親指の付け根にある骨を切除し、腱で関節を形成する手術です。
関節の動きは良好ですが、力の入れやすさという点では固定術にやや劣ります。

手術をしたらどれぐらいで治る?
安静期間とリハビリの時期について

手術後、3~4週間はギプスによる固定が必要です。またその間、強く握る動作は禁止となります。
その後、リハビリを開始します。強く物を掴む動作は、3カ月後の再開を目指します。

手術のデメリットはある?

手術後は、これまでのように正常に手を動かせるようになるまで時間がかかります。

自分でできるセルフケアについて

ストレッチ方法

親指を閉じる筋肉(母指内転筋)のストレッチです。

  1. 両手のひらを上に向け、手首を身体の前で交差させます。
  2. 症状の出ている手の親指の付け根の筋肉に、反対側の手の指を添えます。
  3. 症状の出ている手の親指の付け根を、外側へと開くように伸ばします。親指の付け根の筋肉が伸びていることを意識してください。

※方法が分からない、痛みが強いという場合には、無理をしないでください。

手のエクササイズ

母指の対立運動を行う筋肉(母指対立筋)のエクササイズです。

  1. 手を開き、親指と人差し指の先端同士を触れ合わせ、小さな粒を摘まむくらいの力を入れ、10秒保持します。
  2. 親指と中指、親指と薬指、親指と小指についても、同じようにします。
  3. 反対側の手についても、①・②を繰り返します。

※方法が分からない、痛みが強いという場合には、無理をしないでください。

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